フェイス
「関係ねぇだと?」

「いないものと思って下さい。そして、その功績は全部あなたのものです」


 怒っているのはわかる。

 不利益なことではないはずなのに。


「余計なことはするんじゃねぇ」

「これは私と春平の意志です」


 何が余計なのか。

 別に恩を感じてくれとは言わない。

 ただ、これだけが今の私と春平にできること。


「あいつだけで十分だ」


 それは違うと思った。

 春平だけでは不十分なのはこの男がわかっているはずだった。

 春平は詰めが甘いところもあるし。
< 90 / 173 >

この作品をシェア

pagetop