Seven Colors
「何人動員すれば捕まえられるというのですか、この役立たず」
「し、しかし黒王警部。奴、銃で脅しても怯まないらしいですよ」
そこにいたのは黒王の部下である刑事。震える刑事の様子はこの事件に関与している警官を映したようなものである。誰もが少年に怯えている。それこそが黒王の苛立ちの原因でもあった。
「当たり前ですよ。あの野性猿が銃なんかに怯えますか。第一あんなに腕を奮わせて銃を構えられてはかえって笑いますよ、白石(シライシ)刑事」
「しかしですね、奴、口から火を吐いているらしいじゃないですか」
白石は自身の頭を抱えて見せた。しかしその必死さはかえって黒王を呆れさせる。
「……はあ、何と言う見間違いを。いくらなんでも未成年相手にそこまで怯えますか」
「いえ、どうやら見間違いではな」
「はいはい、現場に行けばわかるでしょう。とりあえず私に付いてきなさい」
黒王に促され、白石は渋々バイクに跨がりエンジンを鳴らした。
ため息をつきながら、携帯電話のディスプレイに目をやる黒王を不安そうに眺めていると、黒王は振り向きもせず白石に尋ねた。
「そういえば白石、アレは持ちましたね?」
「ええ、持ちました……が、何に使うんです?」
白石が答えを待っている間に黒王はバイクを発進させていた。慌てて白石も発進させる。
数々のバイクと一台のスケートボードが走り回る町へ、二台のバイクが新たに駆け込むのであった。
(炎だと? まさか、あいつ……いや、まさかな)
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