雪男のぬくもり探し
「ちょっ!お前なにやってんだよ?!」
私の後ろでは
焦ったように声を張り上げる梓
当の本人である私は
見知らぬ長身男の腕の中で硬直状態
今私に、なにが起きていますか?
「杏乃、会いたかった」
「はぁ?!なに言ってんだよ!!」
「やっとこの時が来たんだ」
「杏乃を離せっ!」
「もう時間がない」
「俺の話を聞けー!!」
「杏乃、さぁ早く」
耳元に響く低音が
私の頭をボーっとさせる
梓の声やクラスのざわめきが
遠くに聞こえる
あぁ、私
どうしちゃったんだろう
うまく頭が働かない..
「俺に体を差し出せ、杏乃」