雪男のぬくもり探し


「ちょっ!お前なにやってんだよ?!」



私の後ろでは
焦ったように声を張り上げる梓

当の本人である私は
見知らぬ長身男の腕の中で硬直状態


今私に、なにが起きていますか?



「杏乃、会いたかった」

「はぁ?!なに言ってんだよ!!」

「やっとこの時が来たんだ」

「杏乃を離せっ!」

「もう時間がない」

「俺の話を聞けー!!」

「杏乃、さぁ早く」



耳元に響く低音が
私の頭をボーっとさせる

梓の声やクラスのざわめきが
遠くに聞こえる

あぁ、私
どうしちゃったんだろう

うまく頭が働かない..



「俺に体を差し出せ、杏乃」



< 8 / 12 >

この作品をシェア

pagetop