クランベールの甘い日々 〜クランベールに行ってきます 番外編集〜
 ベッドに腹ばいになって絵本を読んでいた結衣は、寝室の扉が開け閉めされる音に気付いて、首だけで後ろを振り向いた。

 風呂上がりのロイドが、パジャマの上衣を羽織りながらこちらに歩いてくる。

 ロイドはベッドの縁に腰掛け、結衣の読んでいる絵本を覗き込んだ。


「おまえ、その本好きだな。前からよく見てたよな」
「うん。この絵、きれいで好きだから」
「少しは読めるようになったのか?」
「このくらいはね」


 結衣は笑ってロイドを見上げた。


「文字の勉強を嫌がってたくせに、どういう心境の変化だ?」

「だって、あなたと結婚したら、クランベールに住む事になるんでしょう?
 文字が読めないと、買い物だって困るし」

「それもそうだな」

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