クランベールの甘い日々 〜クランベールに行ってきます 番外編集〜
 夜の九時を回った頃、何もできていないのに、ロイドが帰ってきた。

 結衣は慌ててキッチンから飛び出し、ロイドを出迎える。


「お、おかえり」


 無理に笑顔を作って挨拶をすると、ロイドは怪訝な表情で返事をした。


「あぁ。ただいま」


 そのまま口をつぐみ、じっと結衣の顔を見つめて立ち尽くしている。

 顔に小麦粉でもついているのかと、ロイドの様子を窺いながら頬を撫でてみるが、ロイドは動かない。
 しびれを切らして、結衣の方から尋ねた。


「何?」
「それだけか?」
「え?」
「儀式があるんだろう?」

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