クランベールの甘い日々 〜クランベールに行ってきます 番外編集〜
「必要なものを一式揃えるように言われてます。まずは何を買いますか?」


 歩きながらパルメが、いつもの人懐こい笑顔で尋ねた。

 自分はもう王子ではないので、敬語じゃなくてもいいと言ったのだが、彼女が言うには、ロイドは国王と王子の大切な友人で、その妻となる結衣も同様に大切な方だから、礼を欠くわけにはいかないらしい。

 ロイドと特別なつながりを持つという事は、それほど大きな事なのだと理解した。

 王宮を出る前に、結衣はロイドから、クランベール国民の証となるIDカードを貰った。

 このカードがプリペイド式の電子マネーにもなるらしく、これで買い物をするように言われた。

 カードは国王が特別に許可して、発行してくれたらしい。

 カードの表面にはID番号と名前が書いてあるそうだが、結衣には読めない。
パルメに読んでもらったら、国王の配慮なのか、おちゃめなのか、名前が「ユイ=ヒューパック」になっていた。

 結衣はとにかく服を着替えたかった。
< 29 / 230 >

この作品をシェア

pagetop