クランベールの甘い日々 〜クランベールに行ってきます 番外編集〜
 ブラーヌの息子は、見た目も性格も、ロイドとは似ていなかったらしい。
 おまけにめったに家に帰らないブラーヌには、なついていなかった。

 一方ロイドは、とにかく甘えん坊で、片時もブラーヌの側を離れない。

 このままでは今後、お互いにやっていけないと判断したブラーヌは、引き取ってすぐに、わずか三歳前後のロイドを突き放した。


「学校に行く年になるまでには、一人に耐えられるようにならないと困るからね。オレはおまえのパパじゃない。おまえの面倒を見る義理はないんだ。おまえには手も足もあるし、しゃべる事も出来る。考える頭だってあるだろう。そんな小さな身体一つ、自分で面倒見られるようになれって言ってやったよ」


 当時からロイドは頑固者だったらしい。

「どうしても出来ない事があったら、助けてやる」というブラーヌの言葉に煽られて、意地でも助けを求めなかったようだ。

 その甲斐あって、ブラーヌと遺跡巡りの旅をしている内に、二年もすると大概の事は自分で出来るようになっていた。
 火も包丁も普通に使い、簡単な料理も作れた。

 そしてその内、時間を忘れて何かに夢中になっているブラーヌの分まで、世話を焼くようになったという。
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