ビター・スイート・ラヴ
 真紀は荷物を持って三等室に向かった。



 見知らぬ人と雑魚寝をして約一日半過ごすのかと思うと少々憂鬱だった
が、そんな心配もすぐにすっ飛んだ。



 というのも乗り合わせたライダー同士で親しくなって、食後ラウンジで
酒を飲んだり、ゲームをして過ごしたいるうちにあっという間に三十時間
が過ぎた。



 翌朝六時に苫小牧港に就航した。知合ったライダー達は皆それぞれが
バイクにまたがり目的地へ走り去って行った。 



 真紀は早めに千歳空港に着いた。



 まだ新千歳空港に改装される前で、やけにこじんまりした空港だったのを
覚えている。



 取り敢えず開いている店に入って朝食を済ませた。フェリーでの雑魚寝は
熟睡できず、ロビーの長椅子で少し仮眠をとることにした。



 少しの間、眠ってしまったらしく、気がつくと東京からの便が
到着したところだった。



 到着ロビーから出て来る人の中に懐かしい夏美の姿を見つけた。
< 106 / 206 >

この作品をシェア

pagetop