ビター・スイート・ラヴ
 ホテルに戻るため札幌駅前通りを並んで歩いている時に、夏美が小さな
声で呟いた。



「私、決心したわ。もう今の彼と別れる。今回、この広大な地をオートバイ
で走っていて、なんか自分のしてる事がばかばかしく思えてきちゃってさ。
所詮、待ってるだけの恋なんて、本当の恋愛じゃないよね‥。もう終わりに
しよう‥」



 しばらく、二人は黙って歩いた。



「真紀さん、どう思う?」



「うーん、私には分からないけど夏美さんがそう決めたんなら、それでいい
んじゃない。今、私は恋愛よりオートバイで走ってることがすごく楽しいし
出来ればそういった仕事に就きたいと思う。具体的には編集者とかライター
になれたら最高だなあって思うんだ。今回のツーリングも出版社に投稿しよ
うと思ってるんだ。夏美さん、いいかな? 写真とか載せちゃっても。まあ
掲載されるかどうかも分からないけど」



「もちろん構わないわよ。そっかー、真紀さんには夢があるのね。なんか
羨ましいなぁ。若いっていいわね」



「なに言ってるんですか、私と三歳しか違わないじゃないですか」



「うふふ、そうだったわね」
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