ビター・スイート・ラヴ
 その編集者は面倒くさそうに、君ね、大学をちゃんと卒業して、求人に応
募して受かってからおいで、といとも簡単にあしらった。 まあ、当然とい
えば当然だけど。



 めげずに毎日しつこく編集部に顔を出し続けた甲斐あって、アルバイトで
よければ仕事あるよ、と言われた。



 真紀にとって編集の仕事は雑用も含め、新鮮で楽しいものだった。



 自分としてはこのまま、この仕事を続けてゆきたいのだが両親が猛反対
だった。アルバイトでは先の保証もないという理由で。



 このときばかりは真紀が折れて企業に就職することにした。 



 真紀はOLを一年続けてみたが、やはり性に合わず結局辞めてしまった。



 しばらくは何の当ても無く適当なアルバイトをして過ごした。



 そんな折、以前バイトしていた出版社で知り合った女性からオファーが
あった。真紀はふたつ返事で引き受けることにした。



 その内容はメーカーから借りてきたバイクで日本各地をツーリングし、
雑誌に記事を載せるというものだった。
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