ビター・スイート・ラヴ
 別に変りたいと期待した訳じゃないが、自分自身に確かめてみたかった。



 自分は女性しか愛せないことを。



 しかし結果はなにも変らなかった。というか男とのセックスってこんな
ものかと期待はずれのものだった。お世辞にも気持ちがいいとは思えなか
った。女性と体を合わすほうが余程気持ちがいいと思った。



 以来、男性と付合うことも無くなった。なので谷川とのセックスは意外
なものだった。うまく表現できないが、今までの男とのそれは一体なんだ
ったのかと比べてみてしまう。よく体の相性が良いとか悪いとか言うけど
谷川との体の相性は良かった。



 しかし、もう一方で醒めた見方をする自分もいる。



 谷川は家庭のある男だし、自分は男性を好きになるはずがない‥と。



 谷川は相変わらず真紀を食事に誘った。三回に一度くらいは義理で付合っ
た。しかし会えばやはり谷川との会話は面白く魅力的な男だった。



 こうした付合いを続けていくうちに関係は深まった。真紀は自分でも
信じられなかった。こともあろうに妻子持ちの男と不倫をするなんて!
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