ビター・スイート・ラヴ
 由香もその後に付いて行く。



 真紀はクリスタルの大振りの花瓶を持ってきた。



「これしかないんだ。あとは普通のグラスになっちゃう」


「すてきな花瓶ね。でもちょっと大きいかな? お花をもう少し余計に買っ
てくればよかったわ」




 由香は残念そうに呟き、慣れた手つきで花を生け始めた。




「由香は何をやっても様になるね。まるでフラワーコーディネーター
みたい」


「そんなことないわよ。真紀さん、私のことを買い被り過ぎよ」


「そうかな。私は正直に言ったまでだけど」




 由香は優しく褒めてくれる真紀に対して、急に涙がこみ上げてきた。



 最近、夫との関係がぎくしゃくしているせいかもしれない‥。
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