ビター・スイート・ラヴ
「お腹空いてないわ。それより真紀さんとここでこうしていたい。今度いつ
来られるか分からないもの。できるだけ一緒にいたい。真紀さん、お腹空い
てるのならデリバリーピザを注文しましょう」


「由香がそれでいいなら電話するね」




 真紀は宅配ピザ屋に電話をかけてマルゲリータとグリーンサラダそれにフ
ライドポテトを注文した。ピザが届くまで、パソコンからダウンロードした
お気に入りの曲を流した。真紀は由香にこの前行った河口湖畔でのエピソー
ドをおもしろ可笑しく話した。



 さっきまで浮かない表情だった由香も、真紀の話術には叶わないらしく、
忽ち笑顔に変わり真紀をホッとさせた。



 玄関のインターホンが鳴り、ピザが届いた。



 真紀は取材の帰りに買ってきた白の甲州ワインをテーブルに置いてから、
ワイングラスと取り皿を用意した。



 二人は熱々のピザをぺろりと平らげ、デザートは由香のおみやげのチーズ
ケーキとエスプレッソを味わった。




 いつもなら、この後にベッドで抱き合うとこだが、今日はそういう雰囲気
じゃない。



 真紀は今まで言えなかった自分の考えを由香に伝えようと思った。
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