ビター・スイート・ラヴ
「以前、由香には私の性癖というか過去の恋愛の話しをしたと思うけど、正
直言って由香と暮らせるのなら、そうしたいとずっと思ってきた。由香は普
通に男性と結婚して、まあ、妊娠と出産の経験はまだだけど、とりあえず世
間でいう女性が踏むべき経験をしてきたよね。その後、私と出会い恋に落ち
た訳だけど‥。私としてはうまく表現できないけど、一通り普通の経験をし
た女性なら仮に同性と恋愛しても後悔はしないかなと思って‥私は過去に男
との恋愛経験もあるけど、やっぱり女性といるほうが自分らしくいられると
最近つくづく感じるんだ。それは肉体的には男性とのセックスも確かに気持
ちいいけど、でもそれより精神的な快感というか安定をより求めている自分
に気付いたんだ」





 由香は真紀がいま話したことについて言葉をひとつひとつ選んで語った。





「私は現在、結婚もしているし夫もいるわ。今すぐにどうこうと結論を出す
ことはできないけど、真紀さんのこともすごく大切に想ってる。なんか都合
のいい女みたいだけど‥。ただ、それとは別に今の私は仮に真紀さんと一緒
に暮らすようになっても、きっとだめになるような気がするの‥。それは私
自身、なにも無いでしょ。真紀さんみたいに仕事をきちんと持っている訳で
もないし‥だから私もなにか、これというものを持たなければ、私自身が駄
目になる気がするの。これは夫といても同じ。すごく焦りを感じる。わたし
も直に三十代後半になるし‥。今の私はあなたに相応しくないわ。あなたに
はもっと独身でお似合いの彼女がいるはずよ」
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