ビター・スイート・ラヴ
「なんでそんなことを言うの? 私は由香じゃなくちゃ嫌なんだ。今まで数
人の女性と付合ってきたけど皆、私の元を去っていった。学生の頃の彼女は
男性経験が無かったから‥、男に目覚めちゃって、当然そっちに走るよね。
だから、もうそういう恋愛はしたくないんだ。傷つくだけだから‥。私の思
い込みかもしれないけど、由香とはうまくやっていける気がするんだ」




「ごめんなさい。正直言って今はその気持ちに応えられない‥」




「わかった。すぐに結果を出してなんて言わないから‥。遅くなっちゃった
ね。久し振りに会ったのにこんなかたちで別れるのはつらいけど、いつかは
話さなくちゃならないことだから‥。自宅まで車で送るから」




「ありがとう、私もよく考えてみるね」




 由香は小さな声で呟いた。




 俯いた横顔は苦悩に満ちて、幾分、老けたように感じられた。





 真紀は由香を失うことを考えたくなかった。
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