ビター・スイート・ラヴ

告白・決別

　翌朝、久し振りに由香と二人でのんびり朝食を摂った。



　言うなら今しかないと、浩輔は由香の顔を真正面に見据え、改まって話し
始めた。



「実は由香に話しておかなくちゃいけないことがあるんだ」


「なあに、改まって。仕事の話し？」


「いや、本当に申し訳ないと思う。今から言うことを落ち着いて聞いて
ほしいんだ」


「なによ、それ。もったい付けないで早く言ってよ」



　由香は浩輔に微笑みかけて、話しの続きを促した。




「実は数年前から付合ってる女性がいるんだ。俺の部下なんだけど‥。先日
彼女から妊娠していると告げられた。医者から妊娠三ヶ月と診断されたみた
いだ。彼女は産みたいの一点張りで、こちらの話しを聞かないんだ‥。海外
赴任の話しはこのまえ由香に言ったけど、こうなった責任を俺は取らなけれ
ばならない‥。今、彼女は会社を休んで旅に出ているみたいだ。多分、これ
からのことをよく考えてみるつもりなんだろう‥。由香にこんな話しをする
のは忍びないが離婚を考えてもらいたい‥。俺としては離婚はしたくないけ
ど仕方ないんだ‥済まない」




　浩輔は肩を落としうなだれて、ことの顛末を妻に告げた。
< 169 / 206 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop