ビター・スイート・ラヴ
「もしもし、藤野ですけど‥。お休みのところごめんね。もしかして眠って
た?」


「いいえ、大丈夫よ。由香、久し振りじゃない。元気? こんな時間にどう
したの?」


「ちょっと、圭子に相談したいことがあるんだけど‥、今日って時間空いて
るかな?」


「ええ、いいわよ。今から支度するから、何処かで適当に時間潰して待って
て。待ち合わせ場所は例の喫茶店で」


「ええ、わかったわ。急な無理言ってごめんなさい」



 由香は携帯を切って、新宿に向かった。



 待合せの時間より早めに喫茶店に着いた。



 由香は窓側の席に座り、コーヒーを注文した。



 外を行き交う、幸せそうなカップルや家族連れをぼんやり眺めて、時間を
やり過ごした。



 しばらくして、ノーメイクに近い顔で三浦圭子が由香の前に現れた。



「ごめんね、待った? これでも急いで出て来たのよ」
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