ビター・スイート・ラヴ
 さっきまでの憂鬱な気分がいくらかおさまった。



 由香は新宿三丁目の地下鉄の駅に向かった。



 昼間はカフェで夜になるとショットバーに様変わりする店で待合せた。
由香はカウンターに座り白ワインを注文した。



 程なくして真紀が店に現れ由香の隣に座った。そしてウエイターに黒ビー
ルを注文した。



 由香に向き直り、元気だった?、と優しく訊いた。由香は曖昧に頷くだけ
だった。



 真紀はてっきり由香がこの間のことを、まだ気にしているのかと思い、
このまえはごめんね、と謝った。




「このまえのことなんて全然気にしてないわ」


「じゃあ、浮かない顔をしてるけど、どうかしたの?」


「こんなことを真紀さんに報告するのも変なんだけど、私達、離婚するかも
しれないの‥」


「なんで急に‥。もしかして私と由香の関係を旦那が気づいたとか?」
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