ビター・スイート・ラヴ
 緊張のあまり、あさみはしどろもどろに言いながらも、由香の目を真っ直
ぐに見据えた。



「その件なら先日、主人から聞きました。それを聞いたときは、開いた口が
塞がらなかったけれど。彼はあなたに対して責任を取りたいので別れてくれ
ないかと私に言ってきたわよ。あの人に連絡してないの?」



「妊娠したことを浩輔さんに告げた時、あまり良い反応じゃなかったもので
‥。私、この子は諦めようと思って一人で病院へ行ったんです。でも、やっ
ぱり決心がつかずに病院を飛び出してきちゃったんです。それで‥。こんな
ことになって、本当にも申し訳なく思ってます」



 あさみはうなだれ、声を押し殺して泣いた。



 長い沈黙の後で由香が先に口を開いた。



「あなたの言いたいことは分かったわ。私達はまだ離婚した訳じゃないけど
主人と近々会って、そのことを話し合わなくちゃならないわね。悪いけど、
いろいろ考えたいので、今日のところはお引き取りください」




 由香はあさみにぴしゃりと言い放った。




 あさみは軽く頭を下げてから、そそくさと出て行った。
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