ビター・スイート・ラヴ
 九時少し前にインターホンが鳴ったので、由香はオートロックを
解錠し真紀を招き入れた。




「おはよう、すてきなマンションね。緑も多く、環境もいいわね」


「おはようございます。このマンションはものすごいローンを組んで
購入したんですよ。さあ、中に入ってコーヒーでもいかがですか?」


「じゃあ、お言葉に甘えて。ところで由香さんの格好、やる気満々ね」




 由香は満更でもない様子で、ポーズをとりおどけてみせた。



 由香はキッチンに行き、ドリップで丁寧にコーヒーを淹れた。



 二人はダイニングテーブルに腰掛けて今日走るコースの確認をする。



 さすがに真紀は手慣れたもので、無駄のない日程が組まれていた。



「コーヒーごちそうさま。そろそろ出掛けましょう」



 真紀は由香をうながした。
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