ビター・スイート・ラヴ
 毎晩、寝床で、何故、自分はこんな理不尽な目に遭わなければならない
のか、と声を押し殺して泣いたりもした。



 しかし、その状況を救ってくれたのは真紀の存在だった。



 あさみが自宅マンションを訪ねてきた日、自分でもどうしていいか分ら
なくなって真紀に電話をしてしまった。真紀は電話で由香をなだめ、直ぐ
に代々木上原のマンションに駆けつけてくれた。



 何も言わずに由香を優しく抱きしめた。



 その日は実家に帰らず真紀の部屋で過ごした。



 さんざん愚痴をこぼしたあげく真紀にまで八つ当たりしてしまったけれど
真紀は辛抱強く由香の話しを聞き続けた。



 ようやく気持ちも落ち着いた頃には、すっかり夜になっていた。



 ベッドの背にもたれかかり由香は真紀に訊いてみた。
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