ビター・スイート・ラヴ

　そんな折、南新宿に手頃な物件を見つけることができた。



　それは浩輔と暮らしてたマンションに比べたら天と地ほどの違いだけど、
この際、贅沢は言っていられない。



　由香には何もしなくても数ヵ月は暮らせるだけの貯金はあったが、先の
ことを考えると出費はなるべく控えたかった。



　そんな折、圭子から電話をもらった。



「もしもし、三浦です。由香にピッタリの仕事が見つかったわよ！」



　電話口から圭子の弾んだ声が聞こえてきた。



　その女性は以前、圭子が企画した仕事でインタビューさせてもらったこと
がある。



　彼女は日本のフラワーコーディネーターの中でも屈指の存在だ。しかし、
気難しいことでも有名らしい。その反面、気に入ったアシスタントは、とこ
とん面倒みるという噂だ。



　急遽、彼女のアシスタントの一人が独立するということで、人を募集して
いる時に圭子が絶妙なタイミングで連絡を入れたというわけだ。