ビター・スイート・ラヴ
「今日は取引先の接待を兼ねたパーティーだから、遅くなるので先に休んで
いてくれ」


「毎日大変ね。じゃあ、私は大学の時の友人と食事に行って来るわ」


「ああ、そうしてくれ。由香もたまには羽をのばさなくちゃな」




 浩輔はコーヒーを二口ほど飲んで、慌ただしく出掛けていった。



 もう、こんな生活を二年ちかく続けている。



 最初の頃は部屋のインテリアに凝ってみたりバルコニーでのガーデニング
にはまっていた。浩輔は昨年の人事異動で部長に抜擢されて以来、帰りも遅
く週末も接待で家をあけることが多くなっていた。



 そんな時に真紀と出会った。



 OLだった頃に女友達とよく行った青山の雑居ビルの地下にあるショット
バーで。



 その日は由香は自宅マンションから数駅離れたデパートで夫のワイシャツ
とネクタイを買い求めた。



 その後、地下食料品売り場で総菜とワインを買い終え、駅に向かっている
途中、携帯が鳴った。夫からだ。
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