ビター・スイート・ラヴ
電話の向こうから、あさみのしゃくりあげる声が、切れ切れに聞こえてき
た。
「産んでもいいの? 前はひどく嫌がっていたじゃない?」
「確かにあのときは慌てたよ。でも、いまは違うんだ。俺なりにいろいろ考
えたし妻とも話合った。彼女とは離婚するつもりだ。あさみとの関係を打ち
明けた後に彼女は家を出てった。君がマンションを訪ねて来た時は、自分の
荷物を取りに戻った時に鉢合わせしたらしい。会社の方にはまだ伏せとくが
落ち着いたら常務に話しをするよ。中国に転勤する話しも決まった。春には
向こうに行く予定だから、落ち着きしだいあさみを迎えに行くよ。だから、
二度と勝手に俺の前から居なくなったりしないでくれよ、頼む」
この電話から浩輔の誠意を感じたのか、あさみは「はい」と小さく掠れた
声で応えた。
た。
「産んでもいいの? 前はひどく嫌がっていたじゃない?」
「確かにあのときは慌てたよ。でも、いまは違うんだ。俺なりにいろいろ考
えたし妻とも話合った。彼女とは離婚するつもりだ。あさみとの関係を打ち
明けた後に彼女は家を出てった。君がマンションを訪ねて来た時は、自分の
荷物を取りに戻った時に鉢合わせしたらしい。会社の方にはまだ伏せとくが
落ち着いたら常務に話しをするよ。中国に転勤する話しも決まった。春には
向こうに行く予定だから、落ち着きしだいあさみを迎えに行くよ。だから、
二度と勝手に俺の前から居なくなったりしないでくれよ、頼む」
この電話から浩輔の誠意を感じたのか、あさみは「はい」と小さく掠れた
声で応えた。