ビター・スイート・ラヴ
 ようやく駐車してある場所まで戻り、後部座席で汗だくのウェアを着替えた。



 早速、真紀が自宅から用意したホットコーヒーを飲んでひと息いれる。



「ああ、寒かった。迎え風でしんどかった。見晴らしが良い分、もろに風の
抵抗を受けちゃうから」



「でも今日は本当に楽しかった。真紀さん、ありがとうございます。また、
懲りずに一緒に走ってくださいね」


「実を言うと、由香さんがこんなに走れるとは思ってなかった。今度ぜひ取
材旅行に付き合ってくれる?」


「ほんとに、良いんですか? 私で」


「もちろん」




 帰り道は朝よりも渋滞していた。



 途中、裏道を抜けて都心に午後九時近くに到着した。



 もう少しで由香の自宅に着くはずだ。
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