ビター・スイート・ラヴ
「それにしても見事な紅葉だな。たまにはこうして旅行するのもいいな」


「ほんと、すごく綺麗な紅葉ね。今日泊まる宿の露天風呂と懐石料理も楽し
みだわ。ネットで見た限り、もの凄く豪華な夕食なのよ。追加でお刺身の盛
り合わせも頼んでおいたわ。それよりも浩輔とのお泊まりの方が楽しみ! 
ずーっと朝まで一緒にいられるものね‥」



 あさみは頬を少し赤く染め、恥じらうような仕草をしてみせた。



 それが浩輔には堪らなく愛おしく感じる。



 今すぐ車を止めて、あさみを抱く事ができたらどんなにいいだろう‥。



 ― 俺も若いなぁ。これじゃ二十代の若造じゃないか。
  年齢がひと回りも違うと、こうも愛おしく感じるものか‥ ― 



 浩輔は自分を諌めた。




 途中、峠茶屋で軽く昼食を済ませ、午後四時に宿に到着した。



 あさみは宿帳に浩輔と自分の名前を書き込んだ。宿のおかみは二人を当然
夫婦と思ったらしい。
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