ビター・スイート・ラヴ
 以前はお互いをもっと思いやっていたのに。付き合って一年半も経っと、
つい我が儘を言ってしまう。



 部屋の中に気まずい空気が流れた。



 浩輔は気を取り直し、布団の上にちょこんと座っているあさみを抱きしめ
た。



 最初、あさみは拗ねて泣いてイヤイヤをするように首を振り抵抗したが、
やがて浩輔を受け容れていった。



 浩輔は指先で優しく涙を拭い取り、幼い子にするように頭を撫でてやる。



「ごめん、つい大人気ない態度を取っちゃって。明日もう一日、思う存分楽
しもうな」



 あさみはしゃくりあげながら、こくりと頷いた。

< 33 / 206 >

この作品をシェア

pagetop