ビター・スイート・ラヴ
「いいわね、手に職を持っていると。そうやって、いろいろな所に取材に行
けたりして。真紀さんが羨ましいわ」



「でもフリーって全然フリーじゃないのよ。仕事だって定期的に入ってくる
とは限らないし、いつ干されか分からないもの」


「そうね、そういうところが会社勤めと違うかも。でも好きな仕事をして生
活できるのだからやっぱり憧れちゃうわ」


「由香さんは、もう仕事しないの?」


「したくない訳じゃないんだけど、私、なんの取り柄もないから」


「でもまだ若いし、もったいないわね」


「また取材のお供の仕事があったら、よろしくお願いします。荷物持ちでも
なんでやりまーす」


「この前は助かったわ、ぜひまたお願いしちゃおうかな。それよりコーヒー
冷めちゃうから飲もう。ケーキ頂まーす。これめちゃくちゃおいしい!」




 お茶を飲んで、たわいのない話しをひとしきりした後、借りてきたDVD
を観始めた。



 サスペンス物で、二人共すっかり画面に釘付けになった。
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