ビター・スイート・ラヴ
 車中は比較的空いていて、座ることができた。昨夜の衝撃的な出来事を
思い浮かべ、一人甘い余韻に浸り続けた。



 代々木上原駅に着いて、近くの商店街で買い物を済ませた。



 由香は帰宅してすぐに買ってきた物を冷蔵庫にしまい風呂の準備をした。



 昨晩、家を空けた負い目もあったので、浩輔が帰る前に夕食の支度を
なんとか終らせたかった。



 真紀との関係を浩輔が知ったらどう思うだろう‥。



 殆どの男性は自分以外の男と肉体関係をもたれるよりも女性とそうなる
ことの方がショックに違いない、と由香はそんなことを考えながら料理を
作った。



 そして準備が整ったところで、タイミングよく玄関のチャイムが鳴って、
浩輔が帰えってきた。




「ただいま。これ、おみやげのケーキ」



 浩輔は由香にケーキボックスを手渡した。
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