ビター・スイート・ラヴ
 手を抜くといっても、時間のある時に煮物などを多めに作って冷凍保存
しておく。以前はグラスもしっかり冷蔵庫で冷やしてから出していた。



 テーブルに差し向かえに座り、まずは浩輔のグラスにビールを注いでから
自分のグラスにも注いだ。



 浩輔はビールをうまそうに飲み干し手酌で注ぎ足す。煮物をつまみながら
テレビのサッカー中継を夢中で観ている。



 浩輔の贔屓のチームがゴールを決め一点リードしているところだった。



 由香も何食わぬ顔をしてテレビを眺めていたが、頭の中は真紀のことで
いっぱいだった。




 ― 今ごろ真紀はなにしてるだろう。
             ほかの女性に言い寄ってるのだろうか? ―




「この煮物うまいな。やっぱり由香の手料理が一番だな」




 浩輔が料理を褒めても気づかなかった。相槌を求められてようやく気付く
始末だ。
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