ビター・スイート・ラヴ
 昨夜の一件以来、夫のいる自分からメールをするのは、なぜかすごく
不謹慎に思えてならないからだ。



 こんなことなら、真紀とあのような関係をもたなければ良かったと
少し後悔している。



 もうメールを送らず寝てしまおうと思っていた矢先、由香の携帯にメール
の着信があった。



 真紀からのメールだった。



=こんばんは。由香のおかげで、昨日は楽しい時間を過ごすことができまし
た。私にとって、まるで夢のようなひとときでした。何故って? もちろん
私が思った通り、あなたがすてきな女性だったからです。知り合って間もな
いのに、こんなに気が合って、何時間いっしょにいても違和感がないなんて
学生の頃、付き合っていた恋人以来です。近いうちに会えたら嬉しいです。
都合の良い日を教えて下さい。では、おやすみなさい。 真紀=



 由香はいま送られてきたメールを、何度も繰り返し読んでみる。



 胸がドキドキと高鳴っているのが自分でもはっきり分かった。



 この高揚した気持ちは、いつ以来だろう‥。たしか、浩輔と付き合いはじ
めたころか‥。
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