ビター・スイート・ラヴ
 細い脇道に逸れて、空いているベンチを見つけて座った。毎日学校でも
会っているので話しも尽きて、目の前の池や景色をぼんやり眺めた。



 真紀はポケットから右手を出してミチルの左手にそっと重ねた。



 そして落ち着きなく周りを見回し、ミチルにキスをした。



 公園内で見かけたカップルがしていたように‥。



 ミチルの唇はやわらかく湿っていた。



 たまに人が通ると真紀はぱっとミチルから離れて何事もなかったように
話しはじめる。



 ミチルはそんな真紀の行動がおかしくて笑いを堪えるのに必死だった。



 中には興味津々で二人を交互に見ながら去ってゆく人もいたけど、
二人とも自分たちの世界に夢中で気にしなかった。



 すっかり日が落ちてしまい、一時間位ベンチに座っていたので二人の体が
冷えきって、ようやく日比谷公園を後にした。
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