ビター・スイート・ラヴ
 ミチルを送ってから部屋の片付けや風呂の準備をしているところに、
母が仕事から帰ってきた。



 真紀の家は真紀が幼いときから共稼ぎなので、子供に対してかなり
放任主義だった。



 真紀には五歳上の兄がいるが、すでに社会人になり家を出ていた。



 その為、真紀は誰からも干渉されずに済んだ。しかし、こうも放任
主義だと逆に子供は非行にはしらず、しっかりするものだと真紀自身
つくづく感じる。


 今まで自分のセクシャリティの悩みを、親や他人に打ち明けたことが
なかった。



 小学生の頃から好きになるのは女の子ばかり‥。



 中学生の頃、同じクラスの知加ちゃんに自分の想いを打ち明け、それなり
に相手に受け止めてもらえた訳だしミチルともこういう関係になって、悩む
前に全てが完結してしまっていた。



 両親も幼い頃から男まさりだった真紀のことを、さほど心配してなかっ
た。大人になったら普通の女の子のように恋をして変わっていくだろうと
軽く考えてたようだ。



 母親が手早く作った夕飯を済ませ、風呂に入り早めに自分の部屋に
こもった。



 ベッドに潜ると、まだミチルのぬくもりが残っている。
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