ビター・スイート・ラヴ
 窓際のテーブルにえんじ色の皮ジャンを着た女性が一人いた。コーヒーを
飲みながらぼんやり外を眺めている。



 テーブルの上にはヘルメットが置いてあるので、間違いない。



 髪はセミロングで華奢な体型、人目で美人とわかった。



 真紀はその女性から少し距離をおいたテーブルに座った。



 赤の皮ツナギを着た真紀はコーヒーを飲みながら、女性に視線を移した。



 声をかけようか、それとも止めようか迷った末、思いきって女性に声を
かけてみた。



「あの、失礼ですが駐車場に止めてあるオートバイはあなたのですか?」


「えぇ、そうですけど‥何か?」



 女性は怪訝そうな顔で真紀を見た。
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