ビター・スイート・ラヴ
「実は私もオートバイで来ていて、たまたまこの店に立ち寄ったもので。
駐車場に白いモトグッチが停まっているので、持ち主はどんな人なんだろ
う? と思って。たぶん男性かな、と思って店内を覗いてみたら女性ライ
ダーだったので、つい声を掛けてしまって‥いきなり自己紹介もせずにす
みません。私、浅田真紀といいます」




「はじめまして、佐伯夏美です。今朝起きて急に海が見たくなったので、
バイクを走らせて来ました。犬吠埼は初めて訪れたけど、なかなかいい所
ですね。気に入っちゃいました。よかったら一緒にコーヒーでも飲みませ
んか?」




「ええ、喜んで。そこにある荷物、取ってきます」



 真紀と夏美は二杯目のコーヒーをおかわりして自分の乗っているオートバ
イや今日これからの予定を語り合った。



 佐伯夏美は真紀より二歳年上の二十一歳で、すでに働いていることや、
住まいは五反田で土日の休みを利用して遊びに来たことが分かった。



 真紀と夏美は年齢も近いせいか、すっかり意気投合した。真紀はこの後、
特に予定がなかったので佐伯夏美と一緒に走ることにした。



 彼女は霞ヶ浦に行ってみたいと言った。そして、明日は有給休暇をとるの
で今日はこちらに一泊するつもりでいる真紀に明かした。
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