ビター・スイート・ラヴ
「あの後、すぐに宿は見つかって、なかなか風情のある宿でね。翌日は予定
通り霞ヶ浦を周って土浦から常磐高速と首都高を乗り継いで帰ったの。その
節はいろいろありがとう。また一緒に走りたいわね。よかったら今度、家に
遊びに来ない? もちろんオートバイじゃなく電車で。家で飲みながらオー
トバイ談議でもしましょう」


「はい、是非。夏美さん、お酒強そうですね。いつも何を飲んでいるんです
か?」


「そんなに強くないけど、シェリー酒が好きでたまに飲むわ。真紀さん、シ
ェリー酒でよかったら家にあるから手ぶらで来てね。もし都合が良ければ、
週末に来ない? 家までの地図を後でファックスするわね」


「お願いします。もし迷ったら電話します。それじゃ、週末を楽しみにして
ます。おやすみなさい」


「ええ、待ってるわね。電話ありがとう。おやすみなさい」



 真紀は相変わらず学校とアルバイトで忙しい日々を送っていた。



 佐伯夏美が乗っているイタリアンバイクのモトグッチがどうしても
欲しくて頭から離れない。



 今、所有しているオートバイを売って赤色ボディのモトグッチを買うため
に、最近時給の高いアルバイトに変ったばかりだ。



 学校帰りに六本木にあるショットバーでバーテンダーとして働いている、
といっても見習いとして。
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