ビター・スイート・ラヴ
 その店は午前三時まで営業していた。お客を帰し店の後片付けが終わって
も、始発電車までは時間がある。



 仕方なく真紀は喫茶店か居酒屋で時間を潰すしかなかった。その店のチー
フが見兼ねて、始発電車の時間まで付き合ってくれた。



 帰宅し仮眠をとってから学校に行く毎日が続いた。



 そうまでしても、あのオートバイが欲しかった。



 土日はアルバイトが休みだ。真紀は昼頃まで寝ていた。それから佐伯夏美
の家に遊びに行った。



 自宅から佐伯夏美の家まで電車で一時間ほどだ。手ぶらでお邪魔するのも
気が引けたので、デパートの食料品売り場でシェリー酒をみやげに買った。



 予め地図を送ってもらっていたので場所は直ぐに分かった。マンションの
小さな駐車場には、あの白いモトグッチが止めてあった。



 真紀は階段でマンションの二階まで行き、インターホンを鳴らした。
直ぐにドアが開いて佐伯夏美が笑顔で出迎えた。



 部屋の間取りはロフト付き一DKと云ったところだ。物が沢山置かれて
狭く感じるが、いかにも一人暮らしの女性の部屋だった。
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