恋の傲慢⇔愛のエゴ
わたしだって悲しく思ってないのを無理に泣かそうなんて思ってない。
悲しいのを自覚して、我慢してるってんならそれでもイイ。
でもレージは、頭で悲しいのは理解してるのに、
自分がどんだけ悲しがってんのか、全く分かってないんだ。
ひょっとしたらオレは大人デスから、という激しい思い込みにより平静でいられるのかもしれないが、
全くもって己を知らない。
アンタは酸いも甘いも知りつくした大人なんかじゃない。
自分に疎くて、思い込みの激しいバカガキなんだって。
泣いてようやく自分の悲しみのでかさに気付いたんだ。
それがわたしがレージを泣かせた最初で最後の『あン時』―――。