たとえば私がとなりに座ったら


紫乃ちゃんと修兄との話もそこそこに、私は気を遣って疲れたから先に帰ると言ってカフェを出た

というのは建前で、紫乃ちゃんの無言の圧力に逃げるようにして出て行ったのだ

自分の恋の話になると…紫乃ちゃんは恐ろしい


カランコロン…

店を出ると直ぐに熱い空気が私に纏わりつく

うっわぁ…暑いし、なにより蝉の鳴き声が煩い


思わず耳を塞いではぁ…と溜息を吐き、徐に上を見上げれば

どこまでも澄んだ青が広がっていて

水族館へ行く時も、こんなに晴れてたら良いな…なんて

暑いやら蝉が煩いなんてすっかり頭から飛んで

まだ日にちすら決まっていない廣瀬さんとの水族館デートに胸を踊らせた


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