たとえば私がとなりに座ったら
 

「そもそも同じ電車に乗ってる人に普通興味なんてないよ?」

「でも、成実はあるじゃん」

「それは…俯いているにしてもあれだけ綺麗な顔だったら誰だって興味も湧く」

まぁ…理由はそれだけじゃ無いんだけど

志乃ちゃんの質問に答えながら面白くない教授の講義をノートにまとめていく

「ふーん…是非とも私もその綺麗な顔を拝みたいものですねー」

「駄目。志乃ちゃん可愛いから。それに彼氏いるでしょ?」

「最近別れた♪やっぱりあの人じゃなきゃ駄目ね…てか、ここで私を牽制する前にその人に話し掛けなよ」

「………」

ポキンとシャーペンの芯が折れる

痛いとこ突くよねぇ…志乃ちゃんは

「あ、後でノート貸して?」

「今日くらい自分でノートとって」

「え、なんで!?いつも見せてくれてるじゃん!!」

「何となく」

成実の馬鹿ぁー!!と嘆く志乃ちゃんをよそに私は黙々とペンを滑らせていった




…明日はなにがなんでも絶対話し掛ける

そう密かに決意して




< 7 / 73 >

この作品をシェア

pagetop