ナル男と私
出会いは突然
第一声はとんでもないモノだった。
「君の顔は素敵だ、付き合ってくれ」
青信号に変わったばかりのスクランブル交差点。一気に押し寄せる人混みと、ピヨピヨと鳴る特有の歩を進める音が、妙に耳に響いていた。
十秒、五秒…もしかしたらもっと短いかもしれない。私は、相手の顔をただ静かに見つめ返していた。
引かれた服の袖が伸びるとか、信号渡らなきゃとか言わなきゃいけない事は沢山あった筈
唯一出たのは、ただの一言。
「私?」
思えば、この時から平凡な日常とは決別してしまっていたのだろう。
私は選択しを間違ってしまったのだ。
。
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