ナル男と私

衝撃と誤解

収集のつかなくなった私達は、一旦家のリビングに集合していた。先程までコロッケが山盛りのっていた食卓は、今や冷めたお茶が四つ静かに並んでいるだけだ。

「――で、何で私にベッタリなのかしら」

「勿論ようやく会えた愛しい人と離れたくないからだよ」

ニッコリと、見る者を魅了してしまう程愛らしい微笑みを浮かべて彼が言う。文字だけ見れば赤面ものなのだが、ナル男は何故か私の椅子を半分占領し、私の左半身にピッタリとくっついていた。ここまでくるとちょっと怖い。…と言うかだいぶん

「暑いんだけど」

「勿論僕の胸のうちは最高に熱いよ」

熱いじゃなくて暑いだよっ

思わず怒鳴ろうとした口が、父さんの言葉によって遮られた。

「先ずは紹介させて下さい」

「え」

「彼は湯島実里君、僕のモデルを担当してもらう事になりました」