イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
「補助があるから、持ち出しはそんなに多くないみたいよ。

金がないとかごちゃごちゃ言ってても何も変わらない。

まずは前へ一歩踏み出して。

もう後戻りはできないんだからね。

あとのことは、それから考えたらいい。

お金なんて、どうにでもなるんだから」

「……」


色男はしぶしぶうなずいた。


「……ねぇ。

今、いくつ?」

「21」


じゃあ、最初に本屋で会ったときは、26歳くらいだったんだね。


今21歳のこの人に、何かあたしが言ってあげられることはないかな。

やり直しの効かない人生を、後悔しないように。
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