イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
「ねぇ、お願い。

今楽して遊びにかまけてぷらぷらしてないで、自分のこれからの人生しっかり考えてほしいんだ。

……楽したい気持ちもわかるよ。

でもね、今はフリーターや派遣やってて別に疑問を持たない時代だろうけど、あとちょっとしたら、大不況が来るから。

そうして、厳しい収入格差のある時代に突入するの。

そうなるとあなたは今のままじゃ、しがない街の小さな本屋のバイトくらいしか職がないわけよ」

「……」

「もちろん本屋のバイトが悪いとは言わないよ。

真剣にいい本を人々に届けようという熱意でやってるんなら、それはすごく素敵なことだと思うよ。

でも、そうじゃなくて、単にいくらかの時給が欲しくてただレジ打ってるだけなら、得られることはきっと少ない。

今ちょっとしんどい思いをしても、自分の価値を高めて、人の役に立てる人間になってよ。

たとえ派遣であっても、派遣先から”ぜひ残ってくれ”ってお願いされるくらいの人に」
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