イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
あたしは、こないだ聞いたお母さんの話を思い出してた。


(つたい歩きをやっとする程度の赤ちゃんが、どういうわけか、ある日うちの庭に入ってきてね。

――それがあなたなの、ミソラ。

いろいろ手を尽くしても、ついにあなたの親御さんがだれか、わからずじまいだった。


あの日は雲ひとつない晴れた日だった。

だから、「ミソラ」という名前をつけたの。

多分1歳になるかならないかだろうと思って、その日を1歳の誕生日にしたのよ)



(1995.9.13)


リストバンドの履歴にあったあの日付が、脳裏にパッと浮かんだ。


――あたしの、1歳の誕生日。


「ずっと、これの存在を忘れてたんだけどね。

確か、2つしてたはずなんだけど、どこにしまったか忘れちゃって……」
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