イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
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拓海にママと呼ばれてるあたしは、15歳の高校1年生。

もちろん、この子はあたしの子じゃない。

この子は、8つ上の美咲姉ちゃんの忘れがたみ。


とってもきれいだった美咲姉ちゃんゆずりの、人形のようにかわいい男の子。


美咲姉ちゃんは、この子を産むときに死んでしまったんだ。


美咲姉ちゃんは妊娠したことをずっと誰にも言わなくって。

お腹もなかなか目立つほどは大きくならなかったし、失恋のショックでずっと引きこもってたこともあって、誰も気付かなかった。

拓海が生まれる直前に、秘密めかしてあたしにこう言ったっけ。


「ねぇ、ミソラ。

この子は、あたしの大好きな人の子なの。

あたしはフラれちゃったけど、この子だけはあたしに残してくれたから。

産んで、精一杯育てるつもり」


ほんのり笑顔まで見せて、そう穏やかに美咲姉ちゃんが言えるようになるまで、ずいぶん苦しんだんじゃないかと思う。
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