イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
人にはいろいろ事情があるんだから。

何でもかんでも面白おかしくネタにしないでよね。

それがどれだけ人を傷つけるか考えもせずに、さ。


あのおばちゃんたちに、「あたしが産みの親じゃない」って言うのは簡単なこと。

だけど、拓海はあたしのことを『ママ』だと思ってるから。

拓海を混乱させたくない。

あたしは何と思われてもいい。

拓海を傷つけることはしたくない。

純粋な4歳児の拓海には、何の罪もないんだもん。


あたしがママじゃないって言ったら、拓海はどう思う?


――あたしは実際、拓海にめろめろだったんだんだ。

だから、高1になっても彼氏どころか好きな人すらいなかった。

彼氏なんか作ったら、拓海がこれまた混乱するって思いもあったけど。


実際のあたしは拓海でいっぱいいっぱいだったから、それどころじゃなかった。


拓海の笑顔を見るのが、高1のあたしの一番の喜びだったんだ。



だれひとり、身寄りのないあたしの。


たった4歳の、あたしの小さな恋人。

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