イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*

2.イケメン店員

夏休みも近い、7月半ばの土曜日。

あたしは自転車をこいで、川沿いの本屋に出かけた。


ちょうどあたしの家の川を挟んで反対側の、しばらく上がったところにある。

川のこちら側にも大きな本屋があるから、滅多に行かない本屋さんなんだけど。

学校指定の問題集の指定販売があっちの本屋であるってわけ。


土日はお母さんが家にいるから、あたしは拓海を置いてひとりで出かけられる。

別に拓海がうっとうしいわけじゃないんだけど、平日は学校から帰ると一人じゃいられないからね。


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(あ、こっちじゃない。これ、解説書だ)


問題集の方が要るんだっけ。

あたしは、手に取った本の一冊を本棚に返そうとして、背伸びをした。


(あちゃ)


本がぎちぎちに入ってて、うまく入らないよ。

どうして本屋って、こんなにいっぱいいっぱいに本を詰め込むんだろ。


(むぐぐぐ)


悪戦苦闘してた、そのとき。


ふと、後ろから長い手が伸びて、あたしの手から本を取り上げた。
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