イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*
圭輔さんの目がふたたび熱を帯びてくるのを、あたしの中の女の本能ががっちりキャッチした。

単純なヤツめ。


「最初って、いつだよ?」

「ほら、本屋で……」

「……本屋?」


しまった。

本屋で会うのは、今から5年後だった。


「……じゃなくてぇ、えっと……」


どうやってごまかそうか考えてるあたしに、入江圭輔はニヤニヤ笑いながら言った。


「なんだよ、俺に興味あるなら最初からそう言えよな」


(うう……)


思わずこぶしを握りしめる。


「彼女と別れたら、付き合ってあげる」


何とか高飛車に言い放ったあたしの声は震えてた。
< 90 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop