イノセント・ラヴァー *もう一度、キミと*

5.振り出し

「あ……」


川原に置いておいた自転車に、子ども用の小さな座席がついていた。


(うそ……)


それを見た途端、息が止まりそうになる。


(これは……)


さっきまでの疲れはどこへやら。

期待にはちきれんばかりの胸を抱えて、できるかぎりのスピードで家まで自転車を飛ばした。


転がるように玄関に入ると。

そこには、見慣れた小さな靴がちょこんと並んでた。


(あ……!)


心臓が止まりそう。


「ママー?」


かわいい声がして。

あたしの王子が、当たり前のようにとことことやってきた。
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